ボーイスカウト運動についての諸考察
 次の文章は、所属団の記念誌発行の際に載せてくださったものです。
 

所属団発団五十周年記念誌寄稿文
私とボーイスカウト



 私は昭和三十年生まれです。私が小学六年生の時、小牧に初めてのボーイスカウトの団ができるということで募集があり、応募し、入団しました。
 私は、どちらかというと、引っ込み思案で、いじめられっ子タイプでした。でも、隊の中では最年長で、班長に選ばれたこともあり、隊長は私を可愛がってくれました。できたことには褒められ、失敗したことには何度もチャンスを設けてくれました。ボーイスカウトが、私の生活の中で、最も心地良い場でした。
 ボーイスカウトの活動をとおして、キャンプや手旗、野外工作、サイクリング、奉仕活動などの、普段経験できないことが体験でき、のめり込んでいきました。小さなスカウトから見ると、これらを体験させてくれる隊長は、ヒーローとして目に映りました。そこから、知らず知らずのうちに、隊長のような人になりたいという気持ちが育っていったと思います。
 私は、本来は理数系型の人間で、幼少期からそちらの進路に行くものと思っていました。でも結局は、隊長が出た福祉系の同じ大学に進み、職業も福祉の仕事を選ぶことになりました。ボーイスカウトに出会ったことが、私にとって生涯の進路を定める大きな要素になりました。
 私は、ボーイスカウトの創始者ベーデン-パウエルが、スカウティングフォアボーイズの中で記した次のことばが好きです。
 In every country the aim of the Scouts' training is identical, namely, efficiency for service towards others; and with such an object in common, we can, as an international Brotherhood in Service, go forward and do a far-reaching work.
 すべての国において、スカウト訓練のねらいは同じです。すなわち、他者に対する奉仕ができる能力を身につけることです。このような共通の目的をもっているからこそ、私たちは、奉仕にいそしむ国際同胞として前進し、遠大な仕事を推し進めることができるのです。
 これが、ベーデン-パウエルが国際ボーイスカウト運動の展開において望んだことであり、この達成に向けて、何らかのお手伝いができればというのが、私のこの運動にかかわる使命と思っておりました。
 成人してから、隊長を十年以上続けた私でしたが、三十歳を過ぎて、ボーイスカウトを辞めました。活動が嫌いになったからではありません。結婚して家庭を持つ身になり、ボーイの活動と、仕事と、家庭との両立が難しくなってしまいました。このままではすべての生活が崩壊すると判断し、私はボーイスカウトを捨てる決心をしました。
 今日、各隊で奉仕されている指導者は、多くは社会人であり、家庭を持つ身であるはずです。きっと皆、同じような悩みを抱いて活動をしておられると思います。そのような思いを抱きつつも日々奉仕されている皆様に敬意を表します。そんな指導者の事情や悩みを理解し、個々の負担を軽減し、皆で助け合うことができる組織になることが、今後この運動が安定して存続していく上の重要な要素になると思います。
 定年退職となった私を、団は、団委員として迎えてくれました。ここに記した思いを抱いて、これからも団に貢献できればと思っています。
(2017.12.15)



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